WordPress×PAY.JPで作る定額制サブスクリプションサービス
飲食店や美容サロン、洋服のレンタルや家具・家電など、これまで定額制という料金モデルが存在しなかったサービス分野でも月額制の新サービスが次々と登場し、話題のサブスクリプションサービスですが、サブスクリプションサービスを提供するためのプラットフォームとなるとまだまだ業種・ジャンルが限られています。
今回は、「自社のWebサイトでもっと手軽に独自のサブスクリプションサービスを始めたい」という企業様のために、WordPressとPAY.JPで作る定額制サブスクリプションサービスの構築方法を考えてみました。
サブスクリプションサービス構築の前提条件
どのようなサービスを提供するかによって多少の違いはありそうですが、WordPressサイトでサブスクリプションサービスを提供するための条件をざっとまとめてみます。
- サービス料金が定額であること (複数プランがある場合には、各プランごとの料金が定額であること)
- Webサイト上から会員登録が可能なこと
- 入会時に決済情報の登録が可能なこと
- 会員期間中に支払方法の変更が可能なこと
- 複数プランがある場合には、プラン変更が可能なこと
- Webサイト上から退会手続きが可能なこと
単一料金にするか、複数プランを設けるか、などは提供するサービスにもよって最も違いが出るところだと思いますが、共通する項目としては概ね上記のようになるかと思います。
WordPressでの実装機能
新規会員登録ページ | 新規会員登録の動線の中に、PAY.JPのAPIを使用し、カードのトークン発行フローを作成する。 会員登録完了後は作成されたトークンから顧客作成、定期課金のリクエストを行う。 |
---|---|
会員マイページ | 会員マイページ機能では、通常の会員制サイトでのマイページ機能に加え、クレジットカードの利用期限による変更や決済カードを変更したい場合も考慮し、決済情報の変更(登録カードの変更)機能などを実装する。 |
退会ページ | 会員マイページの中に退会ページを作成。退会処理完了後は、定期課金のキャンセル処理を行う。 |
会員管理機能 | 定期課金が途中でエラーになった場合も考慮し、会員資格の一時停止機能なども実装しておく。 |
実装機能自体は非常にシンプルですね。
会員制サイトの仕組みとPAY.JPの定額課金APIを利用することで割と手軽に導入できてしまいます。
サブスクリプションを提供する際に考えるべきこと
シンプルすぎてこれだけで記事が終わってしまいそうだったので、実装前の検討事項についてもう少し掘り下げてみることにします。
継続課金の実行タイミング
PAY.JPでは定期的な継続課金を実装する上で、課金日について以下のオプションが用意されています。
課金日(billing_day) | 実行日 | 備考 |
---|---|---|
1日 | 1日 | |
31日 | 末尾 | 必ず月末に実行される |
30日 | 30日 | 2月28日など指定日がない場合は当該月の月末に実行され、その後は当該日に固定される |
なし | 定期課金作成日 | 課金日を指定しない場合は、定期課金作成時に課金が行われる |
これだけオプションがあれば、例えば入会日から課金発生でも対応できますし、初月無料 / 翌月1日より課金発生ということも対応可能です。
更にPAY.JPでは、「初回課金額の日割り」にも対応しているので、入会月は日割り課金 / 翌月1日より定額課金というパターンにも対応可能です。
https://payjp.hatenablog.com/entry/2016/01/12/164741
カード情報の非通過対応
これは改めて書くまでもないのですが、2018年6月1日に施行された改正割賦販売法によりクレジットカード番号の適切な管理と不正利用の防止が加盟店に義務付けられました。
PAY.JPでは既にこちらの対応を済ませていますので、WordPressで運用する会員サイト上にお客様のクレジットカード情報を保持する必要はありません。
新規会員登録・クレジットカード情報の変更のタイミングで
上記の方法で定期課金の登録を行うことで、安全に決済処理が可能です。
WordPress側で保持するのはトークン化された情報だけですので、不要なリスクを負うこともありません。
WordPress自体のセキュリテイ強化
とはいえ、会員制サイトではお客様のお名前やメールアドレス、場合によっては電話番号や住所など個人情報を保持することになりますので、新規会員登録時のパスワード設定や、マイページへのログインにはセキュリティ強化を行う必要があります。
最近では2段階認証を実装しているECサイトなども増えてきておりますので、ワンタイムパスワード形式の2段階認証を実装するか、例えばプロフィール変更・決済方法の変更・プラン変更など重要な情報を扱う部分のみ2段階認証を導入するなどの実装が必要になってきます。
WordPressのサイトでもこのあたりの実装はもちろん可能ですので、お客様に安心してご利用いただける仕組みを検討しましょう。
まとめ
まとめてしまうと実装自体はそこまで難しくないので、現在運用中のWordPressサイトで会員ページ機能を拡張することとPAY.JPのAPIを利用することでサブスクリプションサービスを開始することができます。
ただし、サブスクリプションサービスは提供開始後に料金を変更したり、サービス内容を大幅に変更したりが難しいサービス形態です。競合分析や他業種の導入事例など、サービス開始にあたっては提供プランなどサービス内容を慎重に検討する必要があります。
検討段階では、既存のお客様にWebアンケートを実施してみるなども良いかも知れませんね。
また、PAY.JPの導入にあたっては事前に決済内容の審査なども必要になりますので、「サブスクリプションサービスを提供していきたいけど、WebサイトはWordPressで運用しているよ」というお客様は、是非お気軽に弊社までご相談ください。