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今こそ真剣に考えたい、失敗しない中小企業のテレワーク(実践編)

前編ではテレワークを導入するにあたってまず何から始めるべきか、という視点で書かせていただきましたが、今回は弊社で導入したツールや体験談や失敗談をご紹介していきます。
弊社はWeb制作会社ですので、中には全く参考にならない業種の方もいらっしゃるかもしれませんが、基本となる考え方など、少しでもこれからテレワークを導入していきたい企業様の参考になれば幸いです。

参考

今こそ真剣に考えたい、失敗しない中小企業のテレワーク(準備編)

導入ツールの選定

総務省が平成28年に策定した「テレワーク導入手順書」によると、テレワーク導入のためのICT環境の構築方式を以下の4種類に分類しています。

  • リモートデスクトップ方式
  • 仮想デスクトップ方式
  • クラウド型アプリ方式
  • 会社PCの持ち帰り方式

弊社では上記4つのうち、「クラウド型アプリ方式」のみにフォーカスして導入ツールを選定しています。
「リモートデスクトップ方式」は、今回のコロナ禍で急遽テレワークを導入した企業様では最も導入が多かったようですが、これは事態の緊急性を考えるとやむを得ない選択だったかと思います。
反面リソース的に無駄が多いため、準備にかける時間があれば選択肢にならなかったのではないかと考えてしまいます。

営業関連で導入したツール

弊社は制作会社ですが、黙っていれば常に仕事が舞い込んでくるわけではなく、多数の会社と同様に営業活動を行っています。
ただし、弊社はインバウンドセールスを基本にしていますので、弊社側からテレアポを行ったり、DMを送ったりというアウトバウンド型のセールスは一切していません。また、アウトバウンドのセールス活動を外注することもしていませんし、これから先もする予定はありません。
なぜかと言えば、シンプルに費用対効果が非常に悪いからです。
従って営業関連の導入ツールとして筆頭にくるのは、唯一の情報発信手段であるこのWebサイトになってしまうのですが、こちらは今回の主題ではないので割愛します。

ビジネスチャット

メールに変わって素早いコミュニケーションを可能にするツールとしてかなり浸透しているビジネスチャットですが、弊社で最も利用率が高いのはChatworkです。
お取引先でも導入率が高いため、現在は有料プランを使用しています。
メールよりも素早いレスポンスが可能で履歴を追うのも容易ですし、出先にいてもスマホアプリで連携できるため、まさにテレワーク導入後のコミュニケーションを円滑にしてくれるツールと言えます。
ただ社内のコミュニケーションでは、Zoho Oneプランに含まれるZoho Connectなど他のツールへの移行が進んでおり、現在は主に営業面(外部のお客様や担当者様とのやりとり)での使用がメインになっています。

顧客関係管理システム(CRM)

弊社ではZoho CRMを導入しています。
Zohoパートナーとしてお客様のCRM導入支援とWeb連携などの開発支援もさせていただいていますので、当然こちらは自社でも導入しています。
インバウンドセールスを考える上ではCRMは必要不可欠なツールで、お問い合わせいただいたお客様情報やご担当者様の連絡先、見積り、商談、メールや電話の履歴などお客様に関する情報をすべて一元管理しています。
営業関係ではお客様の情報がすべての起点になりますので、CRMを整備することはテレワーク導入の第一歩です。
Zoho CRMはクラウド型のCRMシステムで、必要な情報は一元管理しつつ、アカウントの権限や各情報へのアクセス権限も細く設定できますので、セキュリティ面でも優れています。
「ブラウザ経由で顧客情報にアクセスできてしまうのは〜」という異論はあるかもしれませんが、担当レベルでエクセルや名刺ホルダーにお客様の情報を保管しておくよりも遥かに安全な管理方法だと思います。
これによってテレワークを導入しても、担当者に必要なお客様情報は常に共有できている状態になっています。

3分でわかるZoho CRM

ビデオ会議システム

こちらは言わずと知れたお客様や社内での打ち合わせ・会議に使用するツールです。
主に、Zoom、Skype、Googleハングアウトを使用しています。
画面共有やテキストチャットが併用できるなどの機能面ではどれも似通っているので、お客様の環境に合わせて使い分けているくらいです。
どれを中心に使用していくかという点では絞りきれていないのが現状ですが、必要な時には録画・録音が可能なZoomが使い勝手がよく、こちらを中心に使って行こうかと考えています。

Zoomの紹介動画

制作関連で導入したツール

メイン業務の制作関連では、コミュニケーションロスをいかに減らすかが課題でした。
オフィス内の近くの席にいれば同じ画面を見ながら、「ここの実装は...」「この部分の動作は...」などと気軽にコミュニケーションができるものの、テレワークではそうはいきません。
ちょっとした伝え漏れや認識の齟齬が、無駄な工数発生(=コスト増加)に繋がってしまいますし、開発サイドからすると、「せっかく苦労して開発したプログラムがやり直しになってしまうほど切ないことはない」ということで、一番苦労した点です。

グループウェア

社内のコミュニケーションに関しては、ChatworkからZoho Connectへ移行したことを前述させていただきましたが、この理由は単純にメッセージやファイル共有ができるだけでなく、CRM上のタスク、後述するZoho Project上のタスクやスケジュール共有なども可能なので、この機能連携が使い慣れてくると手放せなくなります。

Zoho Connectの紹介動画

プロジェクト管理

Web業界のプロジェクト管理ツールとしては、Backlogが有名です。
弊社でも他社と協業で開発するプロジェクトでは頻繁に使用させていただいていますが、社内だけで対応している開発案件では、Zoho Projectsを使用しています。
このアプリケーションは、Zoho Oneのプランの中に含まれているので、利用するにあたって追加のコストがかからないというのは大きな利点でしたが、複数のプロジェクトを同時並行で進めていく場合に非常に管理がしやすく、社内で利用しているグループウェアのZoho Connectと連携できるのが最大のメリットでした。

若干見た目は異なるのですが、他のプロジェクト管理ツールで利用可能な機能は網羅されており、インタフェースにさえ慣れてしまえば、アプリ間で連携できるメリットが捨てがたかったというのが本音です。
このアプリはまさに弊社のようなWeb開発やシステム開発プロジェクト向けに作られたアプリですが、他の業種であってもテレワークの実施で細かなタスク管理が必要な場面では、大いに活躍すると思います。

Zoho Projectsの紹介動画

その他の業務ツール

契約書・発注書関連業務

お取引企業様との契約書の締結や発注書のやり取りには、Zoho Signを使用しています。
Zoho Signはいわゆる電子署名ツールで、WordやPDFで作成した契約書・発注書に署名欄などを追加してメールで送付できるアプリケーションです。

受け取った側は画面の指示に従って署名するだけで、契約書が完成します。
また作成された契約書には、誰から誰宛に送付され、誰が受け取って署名を行ったかをタイムスタンプ付で詳細に記載した証明書(Certificate)が添付されるため、日本でも2000年に施行された電子署名法により法的効果が認められています。

作成された契約書や発注書は、Zoho CRMの顧客データと関連付けが可能ですので、ファイリングなどの必要もありません。
事前にドラフトの送付や契約内容の協議が必要な場合には、別のZoho Writerを使用すれば、完成したドラフトからそのままZoho Sign上で清書版を作成することもできます。

電子署名ツール「Zoho Sign」
電子署名ツール「Zoho Sign」

電子署名ツールを利用すると、契約書の印刷・製本・捺印・郵送・返送・ファイリングの業務コストと印紙代・郵送費が全て削減できるため、手間の面でも大きなメリットがありますが、テレワーク的な視点で考えても契約書事務のためだけに誰かが出社する必要がなくなります。

ただし、ご契約書の締結は相手があってのことですので、ご契約先が電子署名による契約締結を認めていないケースも多いのが実情です。
その場合は事前に確認して郵送手続きを取るなど、実務的には柔軟な対応も必要になるのでご注意ください。

見積書・請求書関連業務

弊社では見積書の作成や請求書の発行に関しては、ZohoではなくMFクラウドを利用しています。
Zoho Oneのプラン内で利用できるツールもあるにはあるのですが、MFクラウドの場合には会計ソフト(MFクラウド会計)とも連携しており、銀行口座と連携して自動で仕訳ができたり、毎月繰り返しの請求書発行が自動化できたりと、バックオフィス関連の業務効率化がズバ抜けて使いやすいため、敢えてこちらを利用することにしました。
ちなみにZoho CRM → MFクラウドへの顧客データの連携は自動化されています。

MFクラウド会計の紹介動画

MFクラウドは請求書・会計の他にも、勤怠管理・給与計算・社会保険・経費精算などバックオフィス系の業務を網羅している点、日本の法令・制度に準拠している点、実際にMFクラウド経由で対応していただける会計士・税理士・社労士の先生方がたくさんいらっしゃる点など総合的に考えると、弊社の場合には最適な選択肢でした。

導入にあたって最も重視したこと

ここまで導入を進めていった結果、事務処理や情報共有・業務管理にかける時間が大幅に節約でき、営業・開発などの収益業務に集中できるようになりました。
弊社の場合には、2019年ごろから徐々にいろいろなツールを試し、業務効率化をすること自体に多くの時間を費やしてきましたので、一度導入したもののその後利用をやめてしまったものも多々あります。

アプリ間の連携

その判断基準として最重視したのは、「異なる目的のツール・アプリケーション間でどれだけ連携できるか」という点です。
弊社の場合には、必ずしも全てのツールがテレワークのために導入したものではありませんが、業務効率化を考え、各業務アプリ間の連携(=異なる業務・部門間の連携)を重視して導入を進めていった結果、自然にテレワークを導入しても業務が滞ることがなかった、というのが実感です。

業務効率化

1つのオフィスに出社して業務を行うメリットは、社内打ち合わせや会議、書類の受け渡しなども手軽にでき、コミュニケーションや異なる業務間の連携がスムーズな点が挙げられると思います。(もちろん、それ以外にも大きな意味がありますが)
しかし、その手軽さの裏側に無駄や非効率もたくさん潜んでいるケースが多く、現在のようにテレワーク導入を余儀なくされた状況下では、業務の停滞にも繋がりかねません。
逆に平常時からクラウド化と業務効率化を考え、そのためのツール導入と業務フローの構築を進めていれば、多少のイレギュラーはあったとしても概ねオフィスで仕事するか自宅のデスクでやるかの違い程度で済んでいたのではないかと思います。

これからテレワーク導入を検討される企業様へ

弊社では「Web制作会社ゆえにテレワークが導入しやすかった」という点も確かにありましたが、その逆もたくさんあり、結果的に無駄なコストや時間を費やしながら試行錯誤を繰り返してきました。
より規模も大きくスタッフ数も多い企業様では、なおさらだと思います。

弊社でもまだまだ最適化されたと言える水準には程遠く、これからも継続的な改善を進めていく予定ですが、Webやクラウドを活用した業務効率化を真剣に考え、社内で知恵を出し合って工夫を重ねてきました。
上記に挙げたツールはテレワークに関係した導入ツールの一例ですが、導入順序も概ね記載した順になっています。
そして、中には弊社がパートナーとして導入支援を手掛けているものもありますが、単にユーザーとしてご紹介しているものも含んでいます。

テレワークの導入や業務アプリのクラウド化は、業種・業態・企業規模によっても最適ツールを選定するのは非常に時間と手間のかかる作業です。
ご相談をいただけたら、小規模ながら試行錯誤を重ねてきた弊社ならではのアドバイスができればと思いますので、是非お気軽にお問い合わせください。